白点病を治す薬浴のコツ
熱帯魚が病気に感染しても咳やクシャミをする訳ではないので、分からないですよね。
分かった時には重症化していたりします。でも、大丈夫ですよ。コツを覚えると、早期発見と治療が出来ます。
熱帯魚の病気で一番多いのが白点病です。エサ食いが悪い個体や元気がない時はジックリ観察してみてください。
このページでは、誰でも簡単に出来る白点病の治療方法を紹介しています。慌てずに落ち着いて、すぐに治療を開始しましょう。
白点病に感染すると、上の写真のように背びれや尾ひれなどに白い点(斑点)が出来ます。
白点病は熱帯魚の皮膚表面にウオノカイセン虫が寄生して発病します。
白点病の治療にはヒコサンZがオススメです。使いやすくて水草、エビへの影響が少ないです。
液状ですので計測カップやスポイドで適量を入れやすいです。
水草やエビにも影響が殆どでません。早期治療に最適です。
白点がない状態でも魚が体表をこすりつけたり、普段と違う行動をする場合は注意して観察してください。
熱帯魚に寄生後数時間から数日で病状が進行すると尾ひれや背びれに白い点(斑点)が発生します。
ウオノカイセン虫は熱帯魚の体液などを摂取しつつ繊毛運動を行うため、熱帯魚は痒(かゆ)がり水草などに体表を擦りつけます。
エラに転移すると呼吸困難により死亡する可能性が高くなります。早期発見が治療のコツです。
■目次
小型の熱帯魚は体力がないので病気が進行すると治療が難しくなります。
治療には「ヒコサンZ(ゼット)」がオススメです。水草やエビへの影響が少なく、白点病の治療が可能です。
但し、影響がゼロではありません。クリプトコリネの葉が数枚溶けます。ウィローモスも一部が枯れます。
コリドラスは動きが鈍くなります。コリドラスが居る水槽は注意が必要です。
ナマズ類は薬浴に弱い魚種です。エビは、ビーシュリンプ以外は平気でした。
白点病感染を確認する方法
白点病は背びれや、尾びれに白い点(銀色の点)が付くことで直に発見できます。
発病した熱帯魚は、寄生虫を剥がし落とそうと、ソイルや岩、水草に体を擦り付ける仕草をします。
発病した個体は同じ種類の熱帯魚と全く違う動作を繰り返し行うので、すぐに分かります。
体に転移する前に薬浴すれば小型の熱帯魚でも完治できます。
エサを与えている時が観察に適しています。病気になるとエサを食べなくなったり、エサ取りの輪から離れます。
ヒコサンZ(ゼット)を使った薬浴のコツ
薬浴は規定量を必ず守ってください。間違えると毒薬になります。pHショックで全滅する可能性もあります。
薬浴は水槽全てを薬浴する方法をオススメします。隔離水槽は、一般の方ですと小型水槽になると思います。
その場合、規定量を計る計量カップでは治療薬の量が測れない程の微量になります。
規定量を間違える可能性が高くなります。
薬浴中は、照明を切ってCO2(二酸化炭素)の強制添加も止めてください。
薬浴中はエサも与えないでください。濾過バクテリアが休眠するので飼育水が汚れます。
治療薬を計量する方法
治療薬に規定量を計る計量カップが同梱されていますが、0.5ml単位の微量は測れません。
微量を計るスポイドと軽量カップのセットか、美容用品のコスメティック・シリマーが必要です。
コスメティック・シリマーは化粧品などを携帯用のボトルに入れる時に使うコスメ用品です。ダイソー100均で売ってます。
0.5ml単位で目盛りがあるので便利です。しかも税別100円です。
薬浴の方法は水量が多い、水槽全てを薬浴する方法をオススメします。
病気が発生していない他の熱帯魚と一緒に、本水槽とフィルターも薬浴した方が無難です。
ヒコサンZ(ゼット)と水温調整
ヒコサンZ(ゼット)は水中のウオノカイセン虫を除菌します。
水槽と外部フィルターを全て薬浴することで感染を防ぐこともできます。
熱帯魚に寄生したウオノカイセン虫は、水温が28℃から30℃の高温に弱い習性があります。
水温設定機能(サーモスタット)付きのヒーターを使い、一日に1℃を限度に水温を上げてください。
水温を徐々に高温にして、ヒコサンZ(ゼット)の薬浴を行うと完治する可能性が高くなります。
鷹の爪や塩の投入は、pHの急変で元気な個体まで死滅する可能性があります。オススメできません。
ヒコサンZ(ゼット)を使った治療期間は1日から2日です。取り扱い説明書を読んで使用してください。
日本動物薬品㈱「ニチドウ」の質問ページに薬浴の方法が記載してあります。コチラをクリックすると、質問ページが表示されます。
治療方法のポイント
水槽全体を薬浴する方法では、サテライトを使い少しづつ薬剤を水槽に加える方法が最適です。
飼育水を半分換水してください。活性炭フィルターなどは外してください。
また、照明・二酸化炭素の強制添加は止めてください。
サテライトを使った薬浴のコツ
サテライトを使った水槽全体の薬浴にはには、エアーポンプとエアー分岐のコック、エアー調整用の弁とホースが必要です。
どれも数百円で買えます。下の写真が必要な機器一式になります。
サテライトの中で、原料のマラカイトグリーン原液が希釈されて色が薄くなります。
水槽の接合部にあるシリコンが着色する前に、サテライトの中で希釈されて治療薬の色が薄まります。
サテライトを使うと水槽接合部の着色を回避できますし、とにかく、すぐに治療を開始出来るのが最大の利点です。
シリコンチューブは数百円で買えます。治療薬の薬浴による着色や硬化の心配よりも生体の完治に注力しましょう。
サテライトに治療薬を入れてください。その後、エアーポンプで飼育水を押し上げてサテライトに落として行きます。
その後、1秒数滴、治療薬が混ざった飼育水が水槽内に落ちて行きます。
治療薬を少しづつ水槽内に落とします。この方法であれば、pH(ペーハー)の急変を避けながら投薬できます。
飼育水を落とす量とエアーストーンから酸素を供給する量は、写真の上側に写っている2分岐のコックで微調整できます。
エアーの量は微量で大丈夫です。サテライト内で飼育水と治療薬が混ざります。
この状態になれば、後は何時間でも放置しておけます。酸欠の心配もありません。
病気の熱帯魚は酸欠になりやすいので、エアーの供給は大事です。
水槽全体を薬浴するメリット
病気の熱帯魚を治療する方法は、隔離して薬浴するのが一般的です。
しかし、隔離するためには水槽内を逃げ回る小型の熱帯魚を網で上手に捕まえる必要があります。
水草が茂り、流木や岩が配置された水槽で、逃げ回る小型の熱帯魚を捕まえるのは至難の業です。
また、病気の熱帯魚が更に衰弱します。他の熱帯魚も命懸けで逃げるので衰弱します。
水草やエビに影響が少ないリキッドタイプの治療薬を、水槽に入れて全体を薬浴する方が簡単です。
私は、この方法でミッキーマウス・プラティの過密水槽で発生した白点病を完治させています。
過密水槽は、病気が発生しやすくなるので気を付けてください。
薬浴期間中は、ライトを消して、CO2添加も止めてください。
私は、ヒコサンZ(ゼット)で二日間は薬浴します。治らない場合は二日中断して再度、二日の薬浴を行います。
外部フィルター内や水槽の中を全て薬浴する方が再発率が低くなります。
白点病が治らない場合
白点病が治らない場合は、再度、薬浴を行う必要があります。
薬浴を再度行う前に、一日から二日は薬浴を中断してください。その間にエサを与えて体力の回復を行ってください。
薬浴を中断する日数は治療薬によって違いがあります。取り扱い説明を良く読んで中断期間を設定してください。
治療薬の取り扱い説明書を無くした場合は、ネットで「XXXX(治療薬の名前) 取扱い説明書」と検索すると閲覧できます。
薬浴を中断している間は、エサを与えながら熱帯魚のようすを観察してください。
弱って、自力で泳げない個体がいる場合は、その個体だけ隔離しましょう。すぐに網の中に入ると思います。
隔離水槽に新しい水を入れて、塩素中和剤と治療薬を入れてください。
隔離水槽の横にサテライトを引っ掛けて、サテライトの中に隔離した熱帯魚を入れて下さい。
熱帯魚は飼育水槽の水と一緒にサテライトに入れてください。
一秒一滴くらいの微量を少しづつサテライトに流し込んでください。
隔離水槽を使った薬浴では、サテライトに熱帯魚を入れます。水槽全体を薬浴する方法の真逆になります。ご注意ください。
隔離した場合は、エアレーションで弱く掛けて酸欠を防ぎながら60%前後の濃度で薬浴して様子を見てください。
エアレーションを強くすると激流になるので注意してください。
弱って自力で遊泳が出来ない小型熱帯魚を完治することは非常に難しいです。
白点病の発生原因と再発の防止方法
水槽内、自然界に存在するウオノカイセン虫と言う繊毛虫が熱帯魚の皮膚に寄生して増殖します。
熱帯魚の皮膚にある粘膜は、寄生虫や細菌の感染を防ぐバリアの役目を持っています。
体調が悪くなると皮膚の粘膜が薄くなります。
熱帯魚の体調が良くても、水温や水質の急変で粘膜がただれて、バリアする機能がなくなる場合もあります。
体調か水槽の環境に問題があると発生します。驚いて、体を岩や流木に当てた時の傷から発病することもあります。
白点病の発生原因と対策を一覧表にまとめました。参考になれば幸いです。
原因 | 対策 |
---|---|
ストレスなどで皮膚が荒れて粘膜が薄くなる | 過密飼育を避ける。水草を増やし、弱い個体の逃げ場を作る |
季節の変わり目で水温が急低下した | 夏場にもヒーターを設置。ヒーターは2個以上を設置して、1個が壊れた時の水温急低下を防ぐ |
水槽のpHが熱帯魚に合っていない | 中性から弱アルカリ性を好む熱帯魚をpH6前後で飼育すると粘膜がただれる。pHを測定した後、徐々に適正値に戻す |
過密飼育(水槽サイズに適した生体数を超えている)による飼育水の過剰な汚れ | 換水を頻繁に行うか水槽を増やす |
エサ不足による体力低下 | エサが取れず痩せている個体がいないか観察する。混泳の場合は、エサの与え方を工夫する |
ヒーターを2個以上設置する理由
ヒーターは故障しても、水槽管理者には分かりません。分かるのは水温が急低下した後です。熱帯魚の異変で気づく場合が多いです。
水温が急低下すると熱帯魚の免疫力が弱くなります。皮膚を保護している粘膜の力が弱くなり、病気に感染する確率が高くなります。
熱帯魚が感染する病気の大半は、水槽に普段からいる細菌などが原因です。免疫力が弱くなると、普段は感染しない病気になるのは人間と同じです。
縦型ヒーターはレイアウト水槽にも最適です。後景草の後ろに隠して設置することができます。
上の写真は80Wヒーターです。26Lまで対応しています。1個は横向きの100Wを設置しておけば、60cm水槽のバックアップとして十分です。
横向きヒーターは、レイアウトの邪魔になります。縦型はソイルから10cm以上の高さに吸盤なしでブラ下げて設置できます。
水草を植えたい場所にヒーターが無いのは、アクアリストにとってメリット大です。流木や岩を置く底面から、ヒーターがなくなります。
ヒーターを隠したい方も、そうで無い方もヒーターはバックアップを入れておくと、尾ぐされ病を予防できます。
ヒーターは故障する物と思って、2個以上設置することをオススメします。
小型熱帯魚の尾ぐされ病は、完治が難しいです。予防が大事だと思います。
ヒーターに適度な水流は必須
ヒーターが正しく動作するには、適度な水流をヒーターの周囲に作る必要があります。
ヒーターの温度センサーに水槽全体の水温を正しく感知させるため、水流が必要です。
水流が殆どない場合、ヒーターの温度センサーがヒーター近くの水温で判断して動作を止めます。
水温が上がらずに悩んでいる方は、排水口の近くや、水流がある所にヒーターを移動してみてください。
ヒーターを隠すため、有茎草が生い茂った根元に隠すと水流があたらず、水温を誤って感知する場合があります。
場所を変えるだけで、水温が安定するケースが多々あります。
大半のヒーターは、26℃にプリセット(事前に温度設定)されています。
ヒーターから離れた場所と、ヒーター近くの水温に差が出ます。3℃くらい差が出る場合もあります。
ガラス蓋(ふた)は冬場に必須
ガラス蓋(ふた)は冬場の水温維持(保温)に必須です。
冬場はヒーターで加温された飼育水が室温よりも高くなります。
室温よりも温かい飼育水は蒸発します。また、冬場は湿度も低いので蒸発しやすい環境になります。
蒸発する時に、気化熱で水温が下がります。気化熱の発生を抑える必要があります。
ガラス蓋で、水面とガラス蓋の間に高温多湿な空気の層を作ります。
高温多湿な空気の層は、飼育水の蒸発と気化熱を防ぎます。水温の低下抑制に効果がでます。
冬場の水温低下は、白点病発生の原因になります。
白点病と尾ぐされ病のページは、冬場にアクセスが増えます。水温低下に注意してください。
白点病の発生率
白点病は、熱帯魚の病気による死亡原因の中では最も高い比率になっています。
アンケート調査で分かりました。下のグラフ、オレンジ色の枠が白点病の比率です。
出勤、通学前や育児、家事で大変とは思いますが、週に1,2回は観察してあげてください。
早期発見が白点病を完治するコツです。
まとめ
小型熱帯魚は体が小さく体力が無いので、病気の治療が非常に難しいと思います。
熱帯魚屋の店員さんと話しても、相談の大半が病気の治療方法と聞きます。白点病の相談は多いそうです。
店頭で相談したり、治療薬を探している人を良く見かけます。
しかしながら、サイトの中には金魚やコイの治療方法と混同している情報も見かけます。
何か貢献できることは無いかなと考え、このページとサイトを立ち上げました。
正しい治療方法で早めの薬浴を実施してください。白点病は早期治療が肝心です。
何よりも大事なのは病気の予防だと思います。
病気の完治と、楽しいアクアライフを過ごせることを願っています。
サイト管理人の自宅水槽
水槽スペック
- 立ち上げ時期:2019年5月(引越しに伴い水槽リセットしました)
- 設置場所:マンション2階の自宅個室(ベッドの真横)
- サイズ:Gex 90cmハイタイプ 900mm(横幅)*500mm(高さ)*400mm(奥行き)
- フィルター:エーハイムEF500(メイン)+エーハイムEF500(サブ)1セット、エーハイム2211(メイン)+エーハイム2211(サブ)1セット
- クーラー:ゼンスイZC100にエーハイム水陸両用ポンプ1048を接続して循環
- 水替え:3日に1回、8リットルのバケツ3杯分(24リットル)を交換
- 水質調整剤:テトラアクアセイフ、ADAのブライティーK、ADAのECA
- 底床:10年以上使っている大磯砂の上に、ADAアマゾニアライトを約5cmの厚さで使用中
- 生体:カージナルテトラ10、レッドファントムテトラ(ルブラ)8、コリドラスパンダ2、ランプアイ8、オトシンネグロ1、ミクロラスボラ・ハナビ5、ラスボラ・ヘテロモルファ7、ミクロラスボラ・ブルーネオン8、ヤマトヌマエビ5、ミナミヌマエビ約10
- 水草:前景草(左側)はエキノドルス・テネルス、前景草(右側)はクリプトコリネ・ウェンティーグリーン、中景草はテネルスとブリクサ・ショートリーフ、後景草はバリスネリアとニューオランダプラント、ロタラ、クリプトコリネバランサエ
- メインプラント:水槽真ん中にミクロソリウム
- 流木:30cm前後の枝状流木を5個前後使用。アク抜き後にノコギリで分解して好みのレイアウトに組み立てたが、水草育成後は殆ど見えない
- エサ:テトラフィン、テトラプランクトンを1cm四方のマス目1個分で1日1回、照明点灯後30分くらいに投下、底モノのコリドラスパンダ用にタブレットを2個投下